「パーン、パーン、パーン」
地区のどこかで大掃除の畳をたたく音が聞こえてくれば、もうすぐお盆。家中がにわかにあわただしくなってきます。
「家もやるか」。今年も音を合図に、家族総出でお盆を迎える大掃除。まずは家の周りの草刈り。伸びきった夏草をさっぱりさせると、次は家中の畳を全部庭に出して天日干しです。
畳をずらりと並べ、大人も子供も一緒になって、一年間たまったほこりを払い、ぞうきんでふきあげます。
幼いころはきつい作業でしたが、みんなで動かしたタンスの後ろに、探していた本やおまけのおもちゃがが出てきたり、畳の下に小銭を見つけたりと、楽しみもありました。
また、干した畳の上を面白がって走り回り、よく怒られ昔を思い出しながら、外に目をやると、やっぱり、子供たちが同じように畳で遊んでいます。
大掃除が終わると、母の手作りだんごで、先祖の霊を迎え「精霊(しょうろう)さん参り」に集まってくる親戚を待つばかり。
年に一度、ずしりと重い畳を持ち上げるたびに、家の歴史を体で感じながら、子や孫へと、我が家の伝統が受け継がれることを願っています。
(政)
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