子供たちが考えたことの記録
フクロウは守り神      矢部中3年   原島 春花
 矢部村のたくさんの特産物の中にチェンソーアートがあります。チェンソーアートとは、丸太をチェンソーで削って形を作った置物のことで、全部手作りです。いろんな種類がありますが、その中でもフクロウが一番です。


 小学校の時、実際にそのフクロウを作られているところを見ました。ただの丸太だったものが、どんどんフクロウの形になっていきます・細かいところも全てチェンソーで作られるのです。あんなに細かいところまで作るなんてすごい技術だと思いました。


 ある日。村外に住んでいる親戚の人たちが私の家に集まった時に、
「家は、フクロウば買ったぞ」
と言われました。しかもそのおじさんはフクロウを三個も買っていました。何故そんなに気に入ったのだろうと思いました。また、おじさんは村外に住んでいるのに何故チェンソーアートのフクロウを知っているのだろう、そんなに有名なのか、と不思議に思いました。


 それから、私は矢部の村内や近くの市や町でこのフクロウをよく見かけるようになりました。いろんな家の玄関の前などに置いてありました。私は、フクロウに興味がでてきたので、もっと知りたいと思うようになりました。


 そこで、フクロウを作っている原島さんへの質問を、同じ中学に通う原島さんの親戚のあきら君に聞いてもらうことにしました。質問は五つありました。

一つ目の質問  「何時からフクロウを作っているのか」
      ・・・・4年前の4月から。きっかけは、使わなくなった木材をもったいなく思い、何か作れないかと考え、作り始めた。

二つ目の質問  「誰が作っているのか」
      ・・・・原島さんが一人で作っている。

三つ目の質問  「木の種類は何か」
      ・・・・杉の木がほとんど。でもヒノキやクスの木も使っている。

四つ目の質問  「どういう人が買っているのか」
      ・・・・一戸建ての家を持っている人。縁起物として買っていかれる人が多い。

五つ目の質問  「何故フクロウなのか」
      ・・・・フクロウは「守り神」だと聞いて。
          原島さんとそのお兄さんは山の仕事をされていて危険が多いので守って欲しい。
          自然や家族を守って欲しいという願い。

  
 私は、このフクロウには、木を大切にしたいという思いや、自然や家族を守って欲しいという願い込められているという事を知りました。ひとつひとつ手作りのフクロウには、そんな原島さんの思いがたくさん詰まっているんだなと思いました。
「家もフクロウば買ったけん。今日運んでこらすぞ」
「えっ、ほんとね」
フクロウを買ったと父が急に言うので、私は驚きました。そしてそのフクロウは、その後すぐに家へ運ばれて来ました。


 フクロウの土台のところには、家の屋号の「お茶の千代乃園」という名が大きく彫ってありました。土台の上には、大きなフクロウが乗っていて、全体の大きさは、私の肩の高さほどもあります。そのフクロウはとてもかわいいので、家族は、大喜びで写真を撮ったりもしました。

  
 私もこのフクロウのあったかい感じがするところが気に入りました。今日家に来たフクロウも、原島さんのたくさんの思いがつまっているから、こんなにあたたかい感じがするのかなと、うれしくなりました。


 ただの丸太からは何も伝わってはきません。原島さんは、その丸太からフクロウという「守り神」を掘り出すことを通して、木のぬくもりを人々に伝えることになったのだと思います。これからももっとフクロウを作り続けていって欲しい、そしてその思いをいろんな人たちに伝えていって欲しいです。


 私もこのフクロウをずっと大切にしていきます。そして、このフクロウに自然や家族を守ってもらいたいと願っています。


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